賃貸併用住宅を住宅ローンで借入できる条件と注意点


賃貸併用住宅を建てようとする人は主に2つの立場に分かれます。一つは土地がない人が土地探しから始めて、賃貸住居が1~3戸の比較的小規模な建物を建てる場合。もう一つは土地を所有していたり親に土地の管理を任されているような人が、土地活用のために賃貸併用住宅を建てる場合です。

どちらも住宅ローンで賃貸併用住宅を建てる事ができるのですが、土地の有り無しや建築プランの内容で住宅ローンの借入ができるかどうかが変わります。今回は賃貸併用住宅で住宅ローンを借り入れる条件を見ていきましょう。


基本は総床面積の半分以上を自宅すること


住宅ローンは自分が住むための家を購入するために利用できるローンですから、住宅ローンを借りる対象となる建物が自宅メインである事が必要です。

そのため住宅ローンの借入条件として、ほぼ全ての銀行が『賃貸併用住宅の総床面積の1/2以上が自宅の床面積』である事を条件としています。

なので建物の多くを賃貸住居が占めるような建築プランでは、住宅ローンの借入ができず、より金利の高いアパートローンを利用する必要があります。

自宅の床面積が1/3以上で住宅ローンOKの銀行も


ほとんどの銀行は自宅の床面積が総床面積の1/2以上としていますが、スルガ銀行とゆうちょ銀行は自宅の床面積が全体の1/3以上あれば、住宅ローンの借入OKとしている珍しい銀行です。

ゆうちょ銀行はスルガ銀行の住宅ローンの販売窓口をしているだけですから、実質はスルガ銀行の住宅ローンです。アパートローンでもスルガ銀行は柔軟な対応をしてくれますから、スルガ銀行は賃貸経営の心強い味方言えます。

ただし住宅ローンでも借入金利は3.5%と非常に高いです。他が金利1%以下の時代に3.5%はかなり高い金利です。ただでさえ利回りが低い賃貸併用住宅で高金利のローンを利用しては意味がないので、実質的に使うことはないでしょう。

ただしローン審査の回答が1週間以内などと非常に早いので、場合によっては使い道があります。かなり割安に土地が購入できるので急いで住宅ローンを確定させて契約・決済したいとか、賃貸併用住宅を建てた後に家賃収入で収入が増えるので、より低金利で借り換えができる見通しがあるなど、選択肢として知っておくと役立ちます。

借入上限金額が賃貸併用住宅で最大の課題


賃貸併用住宅で住宅ローンを借りるなら、実質的に総床面積の1/2以上が自宅の床面積である事が条件と言えますが、実はこの条件よりも難しい条件があります。

それは借入上限金額です。賃貸併用住宅は自宅+賃貸住宅(アパート)なので建物の規模が大きくなりやすいです。つまり大きな建物を建てられるだけの住宅ローンの借入金額が確保できるかが最大の課題といえるのです。

ここで土地を所有していたり、実家の土地に賃貸併用住宅を建てられるなど、住宅ローンを建物金額だけに使える人は、借入上限金額をあまり気にする必要はありません。

世帯年収が600万円あれば、約7倍の4200万円まで借入できる=4200万円の規模の建物を建てる事ができます。建築費が高い最近でも、3000万円の建築費で自宅+賃貸2戸の賃貸併用住宅が建てられますから、4200万円もあれば十分です。

ところが土地なしの状態から賃貸併用住宅を建てるとなると、土地と建物の両方の取得金額を確保する必要があります。私も土地なしでしたので、希望する住宅ローンの借入金額を出してくれる銀行探しに奔走しました。

自宅の床面積を半分以上にして住宅ローンを活用しよう


これまで見てきた通り、低金利という住宅ローンの最大のメリットを得るためには、建物全体の床面積の半分以上を自宅とした間取りにする事が必要な条件です。

ただし住宅ローンには最低床面積70㎡や最低敷地面積50㎡などの条件もあります。自宅+賃貸一戸で構成される二戸一棟のような小規模な賃貸併用住宅の場合、建築プランを作る前に銀行で住宅ローンが利用できるか聞いてみましょう。

これらの条件さえ守れば、超低金利で家賃収入を得られるようになります。難しい条件ではありませんから、ぜひ1件具体的な建築プランを作って銀行に住宅ローンの打診をしてみてください。賃貸併用住宅で住宅ローンを借りるために必要な条件がハッキリ分かるようになります。

そのためにも賃貸併用住宅の建築プランを相談できるパートナー探しが必要です。不動産会社に問い合わせたり、セミナーへの参加などの動きを積極的に行う事をオススメします。