賃貸併用住宅の取得に必要な年収は?


賃貸併用住宅について取得計画を立てる時、最も重要な要素は『住宅ローンの借入上限金額』です。

超低金利の住宅ローンを使って賃貸住宅を取得できるのが賃貸併用住宅における最大のポイントですから、希望する賃貸併用住宅を取得するのに十分な住宅ローンの借入ができるかどうかで、取得する土地の条件や建築プランは左右されることになります。

住宅ローンの借入上限金額は年収で決まりますから、より条件のよい賃貸併用住宅を取得するにはある程度の年収が必要です。では年収がいくらあれば賃貸併用住宅は取得できるのでしょうか?

今回は必要となる年収額とともに、年収の金額帯でどのような賃貸併用住宅が購入できるかを検討していきましょう。

賃貸併用住宅を建てる・買うのに必要な年収は?


結論を書いてしまいますと、年収はズバリ600万円以上が目安です。年収が少なくても賃貸併用住宅を取得する方法はありますが、やはり資産形成できる金額(不動産価値)が小さいですから、年収600万円以上でないと賃貸併用住宅による効率的な資産形成はできません。

年収600万円に足りない人は、共働き・キャリアアップ・転職・副業・兼業・家賃収入などで世帯年収を増やすことが先決です。

年収を増やす過程で自然と自己資金も貯まっていくでしょうから、収入を増やすことは住宅ローンの借入上限金額を増やすと同時に、頭金づくりとしても有効な方法だと言えます。

なぜ年収600万円が必要になるのか?

では年収600万円という基準はどこから出てくるのでしょうか?これは賃貸併用住宅の取得総額と、賃貸需要の見込める立地の地価、さらに住宅ローンの借入上限金額が理由となります。

具体的に考えてみましょう。まず賃貸併用住宅は建て売りや中古物件での選択肢がほとんどないため、土地から新築する場合がほとんどです。この場合、25坪~30坪の土地に小型の賃貸併用住宅を建てる場合、木造でも建築費は2500万円~3000万円ほどは必要です。

さらに土地は土地部で賃貸需要のある立地が必要ですから、地価の安い場所を選ぶ訳にはいきません。例えば東京23区を選ぶならば、一番地価平均の安い足立区でも坪単価100万円ほどはします。他の地域でも、横浜市や名古屋市、福岡市あたりも坪単価100万円前後が平均です。25坪ならば土地値で2500万円となります。平均よりも安い土地を頑張って探しても25坪で2000万円ぐらいの立地でないと、安定した賃貸需要は見込めませんし、土地による資産形成もできません。

すると諸費用300万円を加えて、建物2500万円+土地2000万円+諸費用300万円=取得総額4800万円となります。

ここで住宅ローンの借入上限金額を考えてみましょう。年収600万円ならば約7倍の4200万円が借入可能金額の目安です。賃貸併用住宅を欲しいと考える堅実な人は、手持ち資金はだいたい年収以上はありますから、現金が600万円あるとします。これで住宅ローン4200万円+現金600万円=合計4800万円で、ギリギリ賃貸併用住宅が取得できる事になります。

共働き夫婦なら収入合算で借入上限金額を増やせる


ただし年収が足りない人でも、結婚していて共働きなら住宅ローンの借入金額を増やす事ができます。個人ではなく、世帯としての年収(収入合算)を銀行に評価してもらう方法です。

その際の銀行からの借入方法はペアローン(夫婦それぞれが住宅ローンを計2つ借りる方法)もありますし、連帯債務(夫婦で1つの住宅ローンを借りる方法)、連帯保証(夫婦の収入評価で夫だけが債務者となる方法)などがあります。

ただ連帯債務は取り扱っている銀行がほぼ存在せず、現実的にはフラット35でしかありません。こうした収入合算による住宅ローンの借入金額を増やす場合については他の記事で解説します。

年収と自己資金で買える賃貸併用住宅の総額目安


最後に年収別で購入できる立地を確認してみましょう。都市の平均地価を参考に、おおよそ購入可能な立地を一覧化しています。25坪と小さめの賃貸併用住宅を基準に、年収が増えた場合にどこまで地価の高い立地に建てる事ができるかの目安を記載しています。

ただし年収900万円以上の地域では3階建て等で建築費が高くなる事を想定し、25坪で3000万円という価格を元に試算しています。また都市の地価平均を目安としているため、例えば東京都世田谷区の中でも、二子玉川・三軒茶屋・下北沢の駅周辺は平均より坪単価が高く、芦花公園・仙川や駅から遠い立地は平均より坪単価が安くなります。


賃貸併用住宅は年収600万円以上の人が有利に使える資産形成法


以上で年収600万円が賃貸併用住宅を建てるのに必要な年収の基準だと見てきましたが、ご覧の通り賃貸需要がある他の都市は他にもたくさんありますし、都市の中の立地によっても地価は大きく変わってきますから、どこの土地や立地が良いという話は個別に見ていかないと分かりません。ですから世帯年収600万円以下では賃貸併用住宅は取得できないというわけではありません。

ただ一方でそれなりの地価である立地以上の土地でないと、将来に渡っての賃貸需要に不安があったり、資産形成できる土地の価値が少なくなってしまうという課題があります。そういった意味では年収600万円以上で購入可能な土地は、賃貸需要や資産形成の観点で価値の高い立地を選ぶことができるので、より賃貸併用住宅という資産形成の手段にピッタリなのです。

年収600万円以上で賃貸併用住宅に関心がある方は、すぐにでも専門家によるセミナーや、専門的に賃貸併用住宅を扱う不動産会社に問合せや相談すると良いです。家賃収入というのは時間の経過とともに得られるものですから、早く始めることで収益を最大化する性質があります。

時間という貴重な資源や家賃収入による収益機会を無駄にしないためにも、思い立ったらすぐ行動に移すことをオススメします。