賃貸併用住宅にサブリースは必要?賃貸運営3つの方法


賃貸併用住宅から家賃収入を得られるのは、賃貸住宅に入居者が住み続け、家賃を支払ってくれるからです。ほとんど手間はかからないものの、住居を提供している以上は管理運営が必要になりますから、どう対応していくかを検討しなければなりません。

ただ多くの場合、賃貸併用住宅の新築・取得をサポートしてくれた不動産会社から、賃貸運営についての提案をもらうことができます。ほとんどの場合は「サブリース」か「管理委託」の2つのどちらかを提示されると思いますが、実際には大きく分けて3つの賃貸運営の方法があります。今回はこの方法と、賃貸併用住宅ならではの選択についてお伝えしていきます。

賃貸物件を運営する3つの主な方法


さっそくですが賃貸運営の3つの主な方法とは、「サブリース・借り上げ」によって運営管理を完全に不動産会社に任せてしまうか、「管理委託」によって入金管理や入居者の問合せ窓口・リフォームや清掃のアドバイスを不動産会社にもらう形式か、「自主管理」によって何か対応が必要な場合は自分で受け付けてプロを手配するか、この3つの選択肢があります。

3つの運営方法について各方法ごとにもう少し詳しく見ていきましょう。

サブリース・借り上げ


賃貸住宅の権限をすべて不動産会社に委託してしまう方式です。入居者から見た貸主は不動産会社になるため、家賃の入金管理から問合せ、退去の手続き、入居者募集、住宅設備のリフォームまで、賃貸運営のあらゆる作業を行うのは不動産会社となります。賃貸住宅の所有者は何も行う必要がないので、一番楽な方式です。もし賃貸住宅が空室でも、保証された家賃は毎月受け取ることができます。

ただし入居者から本来得られる家賃から、10%~20%を差し引かれた金額が保証される入金額になります。また給湯器が壊れたなど、住宅設備の修繕や入れ替えについて通常運用の範囲を超えた費用が発生した場合、サブリースしている会社の言いなりの金額を支払うことになります。一番楽できる代わりに、手数料や経費などの出ていくお金も多くなります。

賃貸物件の管理委託


多くの賃貸物件で行われている運営方式が「管理委託」です。入居者から見た貸主は賃貸物件の所有者、つまり我々大家さんとなります。サブリースと同じように入金管理や入居者からの問い合わせ対応、退去の手続きや入居者募集などについてほとんど対応してもらえます。ただし決定権は大家さんが持っているので、何か対応が発生するたびに連絡が来て判断を聞かれることになります。

ただ多くの場合でアドバイスをもらったりリフォーム等は業者を紹介してもらえるので、ときどき連絡があるぐらいで手間はかかりません。ただし入居者のいない空室の場合は家賃収入がありません。空室リスクまでは請け負ってもらえないのです。ただし管理委託手数料はほとんどの不動産会社で5%だけで、多くの作業を代行してもらえるので使い勝手がよい方式です。

自主管理


賃貸住宅の運営をすべて自分で行う方式です。家賃の入金確認をして支払い忘れがあれば自分で督促の連絡をしますし、リフォームが必要になれば自分で発注先を探して依頼をしますし、入居者からの連絡はすべて建物所有者=大家さんにやってきます。3つの選択肢の中では一番手間がかかります。

ただし賃貸住宅で必要な対応というのは実はほとんど発生しません。通常は毎月一回、家賃の入金確認だけして終わりです。ごく稀に家賃の支払いを忘れている入居者がいたら、手紙をポストに入れるか、メールや電話などで「家賃の支払いよろしくお願いします」とだけ伝えれば大丈夫です。よほど悪質な入居者でない限り、入金を忘れていたらすぐに家賃を振り込んでくれます。

またリフォームが必要な場合も自分で最安値の発注先を探すことができるので、サブリースや管理委託よりも安い金額でリフォームできるという利点があります。ただしCMをバンバン流しているような業者に頼んでも高くつくだけですし、細かい修繕まで外注していてはキリがないですから、自分でも多少の修繕技術は身につける必要があります。

とはいえ家賃収入を丸々受け取れますから、もっとも収益が高い運用方式です。

賃貸併用住宅という特徴を生かす自主管理のススメ


賃貸物件の運営方法としてサブリース、管理委託、自主管理の3種類があることをあることをお伝えしてきました。自分がかけられる手間や払っても良い手数料のバランスを考えて、目的にあった選択をするだけなのですが、賃貸併用住宅には通常の賃貸物件とは大きく違う点があります。

当たり前のことですが、自宅と賃貸物件が同じ建物となっているので、自主管理だとしてもほとんど手間なく運営できるということです。私は会社員としてかなりの長時間労働をする業種なのですが、それでも今住んでいる賃貸併用住宅は自主管理で十分に対応できています。

毎日帰ってくる場所ですから建物周辺の清掃は簡単かつこまめに掃除できていますし、ほとんどありませんが、入居者から何か聞かれたりしてもすぐに答えたり対応したりできます。近隣の家から騒音があるなどの場合でもすぐに自分で気が付くことができますから、下手なサブリースよりもレベルの高い賃貸物件の運営管理できてしまうのです。

まだ働き盛りの会社員や自営業者なら、自主管理をすることで賃貸経営のノウハウを実践しながら学べ、他の賃貸物件を取得する不動産投資の知見を手に入れることができます。また定年退職されて時間の余裕がある方ならば、身近に住む入居者のために清掃・会話・住宅設備の修繕などをマイペースに楽しみながら行うことができます。

賃貸併用住宅を取得しようと思っているなら、「賃貸物件の管理なんてできないからサブリースで不動産会社にすべて任せてしまおう」と可能性を捨ててしまわずに、ぜひ自主管理という選択も検討してみてください。人生の幅が広がることを、実践者としても実感しています。