2016年3月の確定申告で初めて住宅ローン控除を申請しました。確定申告自体はすんなり受け入れてもらえたのですが、その後1ヶ月ちょっとの間に税務署とのやり取りが必要だったので記事にして共有します。賃貸併用住宅での住宅ローン控除について解説します。
そもそも住宅ローン控除とは?
国税庁のウェブページを見ると分かりますが、正式な名称は住宅借入金等特別控除という制度です。住宅ローン減税と呼ばれることもあります。住宅ローンを借り入れている人が、年末時点の借入金残高の1%を10年間、所得税から控除できます。
例えば2016年の年末時点での残高が3000万円だった場合、1%である30万円を2016年の所得税から控除できます。収入に比べて大きな住宅を購入したり新築した場合は多額の住宅ローンを借りており控除額が大きくなることで、所得税からだけでは控除しきれない場合もあります。その場合は住民税のも控除の対象となります。
出典:国土交通省ホームページ
他にも床面積は50平米以上が必要など細かなルールが多く、複雑に見えて自分ではとても確定申告で申請できそうにないように思えてしまいます。ところが国税庁のページからダウンロードできる計算明細書に従って必要な項目を記入していけば、自動で控除額が計算できるようになっています。
初めて確定申告で住宅ローン控除を申請するときは本当に自分でできるか不安でしたが、意外と簡単に控除額の計算ができ、確定申告書を作成することができました。
賃貸併用住宅の住宅ローン控除
ただし一般的な自宅として住居を購入した場合と違って、賃貸併用住宅の場合は一部で住宅ローンの控除額の計算方法が変わります。結論を先に書きますと、賃貸併用住宅の場合は建物全体の床面積のうち、自宅として使用している床面積の割合だけしか住宅ローン控除を受けることができません。
例えば建物全体で80平米の賃貸併用住宅を新築し、うち40平米を自宅用・残り40平米を賃貸部分としている場合、自宅の床面積の割合は40平米÷80平米=50%なので、住宅ローンの借入金残高が3000万円だった場合、3000万円×1%=30万円のうちの50%、つまり15万円が実際に控除できる金額となります。
国税庁のページから確認できる住宅借入金等特別控除額の計算明細書にも『居住用割合』を記入する項目がしっかりとあり、賃貸併用住宅や店舗併用住宅などでも住宅ローン控除がちゃんと計算できるような計算明細書の作りになっています。
住宅ローン控除の還付や減税される時期
確定申告で無事に申請が終わると、所得税から控除された金額は確定申告終了後の1ヵ月後ぐらいに、確定申告書の「還付される税金の受取場所」に記入した銀行口座やゆうちょ口座に振り込まれます。給料以外の収入があって確定申告をしている場合は、確定申告をする時に所得税から住宅ローン控除の金額を差し引くことができます。
もし所得税に対する控除だけでは足りず、住民税にも住宅ローン控除が適用される場合は翌年の住民税が減ることになります。つまり住宅ローン控除の金額がそのまま還付金になる訳ではなく、給料以外の収入にかかる所得税から差し引いたり、翌年の住民税の支払い額が減る場合もあります。還付金が計算した控除額より少ない場合はこうしたパターンに当てはまっています。
控除をめぐる税務署とのやり取り
さてここからが私が実体験した住宅ローン控除にまつわる話です。
確定申告が無事に終了して安心しきっていた4月上旬に、見たことのある番号からスマホに電話がかかってきました。私は不動産投資の営業電話が多くかかってくるため電話は出ないことも多いのですが、見覚えのある番号だったので出てみると税務署からでした。
税務署から電話が来た瞬間、税務調査にやって来られてたっぷり追徴課税を取られてしまう…というと思い込み数十万円超の余分な出費を覚悟しましたが、単純に住宅ローン控除の計算の裏付けの確認の電話でした。
賃貸併用住宅の場合、前述した通り住宅ローン控除を受けられるのは借入金(住宅ローン)の年末残高のうち、自宅部分の床面積割合だけ控除対象となります。ところがこの自宅部分の床面積比率を説明する資料を確定申告の時に提出していなかったため、税務署から電話が掛かって来たのです。
最初は住宅ローン控除の自宅床面積割合について計算した背景を質問されただけで済んだのですが、その後も数回電話を受け、自宅の床面積割合を説明する資料を提出して欲しいと依頼されました。
計算明細書には資料を添付せよなどと書かれていなかったので、確定申告時に何も資料を出していませんでしたが、賃貸併用住宅の自宅部分の床面積割合の根拠となる資料は提出する必要があるという事でした。
私の場合は建物図面をコピーして郵送するだけで問題なく受け付けてもらえましたが、税務署から電話を受けるのは正直あまり嬉しくはありません。もし皆さんが賃貸併用住宅の住宅ローン控除を申請するときが来たら、自宅利用の床面積割合を説明できる資料を確定申告の時に添付しておくことをオススメします。