賃貸併用住宅という仕組みを知り情報収集を始めると、まず目に付くのは大手ハウスメーカーのテレビCMです。ウェブ上にも賃貸併用住宅の特集ページが準備され、各ハウスメーカーが営業活動に力を入れているのが分かります。
私も賃貸併用住宅を検討している時には、多くのハウスメーカーに相談をしました。特に大手ハウスメーカーの場合は営業マンのサポートが手厚く、丁寧な案内をしてくれるので知識を付けるという意味でもとてもありがたかったです。
今回は大手ハウスメーカーによる賃貸併用住宅について、大手ハウスメーカーとどう付き合えばよいのか?実際に建築の依頼先としてどうのなのか?様々な観点から考えてみたいと思います。
大手ハウスメーカーの賃貸併用住宅は実物を街中で見られる
都心や高級住宅街など、地価の高い地域の住宅街を歩いてみると、意外と賃貸併用住宅が多く建てられていることに気が付きます。中には築30年は経っているであろう二階建てのボロアパートが、よく見たら一階が大家さんの家になっているという賃貸併用住宅もあります。
最近になって賃貸併用住宅に注目が集まっていますが、賃貸併用や店舗併用という概念は昔からあり、築年数の古い賃貸併用住宅も多く見かけます。意外にも賃貸併用住宅の歴史は長いのです。
そうして街中を歩きながら賃貸併用住宅を差がいていると、似た外観の賃貸併用住宅を複数見つけることができます。これは大手ハウスメーカーの開発した賃貸併用住宅の決まった建物形式を採用しているためで、同じハウスメーカーで建築すると外観が同じものになります。一戸建てやマンションなども同じ外観になるのはご存知だと思います。
大手ハウスメーカーの賃貸併用住宅ブランド
そこで街中で見かけた賃貸併用住宅はどこのハウスメーカーのものだろうかと、ウェブで調べてみると外観が統一された賃貸併用の各社プランを見つけることができます。下記は主要な大手ハウスメーカーの賃貸併用住宅の取扱いを調べて一覧表にしたものです。
ハウスメーカー | 賃貸併用住宅の扱い | 賃貸併用ブランド |
---|---|---|
ダイワハウス | ○ | xevo+R |
積水ハウス | ○ | (ブランドなし) |
ヘーベルハウス | ○ | へーベルハウスRONDO |
セキスイハイム | ○ | はたらくわが家 |
住友林業 | ○ | フォレストメゾン プラス |
ミサワホーム | ○ | ベルリードホームプラス |
一条工務店 | ? | 不明 |
パナホーム | ○ | 多層階住宅 |
三井ホーム | ○ | ウィズ・レント |
トヨタホーム | △(実例あり) | (ブランドなし) |
タマホーム | ? | 不明 |
これを見ると多くのハウスメーカーが賃貸併用住宅という商品を重視している姿勢がよく分かります。賃貸併用住宅の専門ブランドを立ち上げ、各社が積極的に賃貸併用住宅をマイホーム取得者にアピールしているおかげで、賃貸併用住宅の実例をたくさん知ることができますし、現場見学会に参加することもできます。
ハウスメーカーが賃貸併用住宅を重視する理由
ハウスメーカーからすると、普通のマイホーム建築を請け負うよりも賃貸併用住宅の建築を請け負うほうが儲かります。なぜなら賃貸併用住宅はマイホーム+賃貸住宅という形式で、土地に対して最大限まで大きな建物を建てることを提案できるからです。
特に大きな土地を持っているけれども子供がいないor独立した高齢者夫婦2人というお客さんの場合、自宅を建てようと思っても必要以上に広い家は必要ありません。よほどの豪邸を希望するお客さんでない限り、マイホームの建築はある程度の広さしか必要としないためです。
でもハウスメーカーの立場からすると、建築してもらう建物が大きければ大きいほど売上も利益も伸ばすことができます。広い土地のオーナーには賃貸アパートを建ててもらうか、賃貸併用住宅を建ててもらうのが都合が良い訳です。
そしてお客さんである私たちにとっても、住宅ローンという超低金利のローンを利用して賃貸住宅を建てられるのはとても魅力的です。ハウスメーカーと私たちお客さんの意向が一致する訳です。ただし広い土地に賃貸の割合が多きな賃貸併用住宅を建てる場合、アパートローンでの借り入れになりますが、賃貸住宅の管理のしやすさや自分も敷地に住めるというメリットを受けることができます。
相談先として大手ハウスメーカーは優秀な営業マンが多い
大手企業は組織がしっかりしていますから、営業マンも専任の人が付いてくれて、建築プランやローンシミュレーション、資金計画などを作成してくれます。しかも土地情報を持ってきてくれたり、分からない事については丁寧に調べて回答してくれる傾向が強いです。一言で表すならサポートがかなり手厚いです。
私も積水ハウスやミサワホームの営業マンに相談し、色々と賃貸併用住宅の基本や最新事情、さらには実際に建築された賃貸併用住宅の現場を見せてもらい、とても勉強になりました。なぜ自社の建物が良いのかという点の説明も、訓練されているためかとても分かりやすかったです。
賃貸併用住宅を検討しているならば、相談先の一つとして大手ハウスメーカーに問い合わせてみるのは第一歩としてよいと思います。
大手ハウスメーカーの主な顧客は土地の所有者
ただし大手ハウスメーカーは建築費用が高く、企業の運営費も高いため、金額が小さくて手間のかかる案件は相手にしてくれません。
私の場合は土地を持っている訳でもなく、専業主婦世帯のサラリーマンで世帯年収が多いわけでもなかったので、儲からない案件だと判断されたのか多くのハウスメーカーで丁重にお断りされるか、連絡をもらえずに自然消滅させれることが続きました。
それでも一部の大手ハウスメーカーは相談に乗り続けてくれたのですが、やはり建築費用が高いために土地から購入して賃貸併用住宅を建てようとすると、収支があまりよくないために結局は選択肢から外すしかありませんでした。
ただし土地を所有している人の場合、あとはどんな建物を建てるのかを検討するだけですから、ハウスメーカーとしても提案にチカラが入ります。土地を探す手間もないですから、得意領域である建物プランをいかに良い内容へと磨いていくかに注力できます。
さらに大手ハウスメーカーの場合、60坪以上などの広い敷地向けに賃貸併用住宅のプランを作っているため、建築プランがぴったりと入るような土地の広さや形状の場合、大手であってもそこまで高くない建築費で賃貸併用住宅を建てられる場合もあります。
土地を相続したり所有したりしている場合は、大手ハウスメーカーの賃貸併用住宅のプランが上手く当てはまるか確認してみることをオススメします。また世帯年収が1000万円を超えるような場合は土地から探しても購入できる可能性が高いですし、割と大きな建物を建てることができるので、大手ハウスメーカーの営業マンからの手厚いサポートを期待できます。
土地のない人・世帯年収が高くない人はどうするか
では土地という資産もなく、世帯年収が1000万円もない人が、賃貸併用住宅という仕組みを利用するにはどうすれば良いのか…私が出した答えは、地元で賃貸住宅や賃貸併用住宅を建てた実績のある工務店を不動産会社に紹介してもらうことでした。
工務店や中小ハウスメーカーは知名度もないですし、営業マンなどいないために建築プランの説明もあまり手間をかけることができません。ただし広告宣伝費や無駄な人件費がないため、建築費用は大手ハウスメーカーよりも安いことが大半です。
建物の質が悪いから安いという訳でもなく、建築プランや住宅設備を詳細に検討してみると、大手の独自商品部分以外は、同等以上の仕様でちゃんとした計画を立ててくれます。ただし素人がゼロから工務店を探し、優良な会社に出合うのは大変です。
賃貸併用住宅の専業会社や、賃貸併用住宅の取扱いが豊富な不動産会社に相談してみるのが正解です。不動産会社だけではなく、賃貸併用住宅の建築実績が豊富な建築士へ相談して、工務店を紹介してもらうのも堅実な方法です。
まずはプロに相談してみることで、実績のある会社を見つけたり、自分自身の知識を増やすことになります。メールや電話で問い合わせるという行動から始めてみてください。