住宅ローンを借りられる銀行・金融機関 全10種の金利と特徴


住宅ローンの借入先となる金融機関は銀行だけではありません。さらに銀行の中でも規模や設立の目的によって提供している住宅ローンの内容は様々に変わります。今回は住宅ローンを借りるときに役立つ、金融機関や銀行の違いと住宅ローンのサービス内容の差についてお伝えしていきます。


メガバンク・都市銀行


支店の数が多くメインバンクとして給料口座に設定した場合の各種サービスの使い勝手が良いため、普通にマイホームを購入してローン返済するにはメガバンクが一番便利です。

しかもメガバンクは融資に充てる調達資金の金利が安く、条件を満たせばかなり低い金利で住宅ローンを借りることができます。口座の使い勝手がよく金利も低いので、希望する金額の借入ができるならメガバンクが最適な選択肢です。

ただし住宅ローンの審査についてはかなり厳しく、借入上限額が低めに出やすいので希望する借入額になかなか届きません。特に賃貸併用住宅のように、通常の自宅購入よりも大きな建物を建てる場合、必要な借入額が大きくなってしまうため、メガバンクでの借入は金額が足りなくなりやすいです。

ネットバンク・ネット銀行


かなり金利が低いため、住宅ローン借入先として近年では選択する人が増えています。元々住宅ローン金利が低いメガバンクと比べてもかなり低く、総支払利息を極限まで減らすことができます。中には住宅ローン金利が0.5%という驚異的な低さのネットバンクも出てきました。

ただし金利の低さは運用コストを抑えることで成り立たせていますので、借入可能額や金利の審査は画一的しか行ってくれません。またネットバンク側のリスクを抑えるために借入可能額も少なくなりがちです。

賃貸併用住宅を購入する時に一番問題になるのが希望する借入額を金融機関が貸してくれるか、という点のためネットバンクは使いにくいです。どうしても年収に対して規模の大きな不動産を購入するため、借入額が足りなくなることが多いのです。

ただもしあなたの年収が1000万円を超えるなどかなり収入が多い場合は、ネットバンクのような画一的な審査でも十分な借入額となる可能性があります。ネットバンクの借入と賃貸併用住宅の組合せが成立すれば最高の借入方法になります。

地方銀行


支店がある地域が限られるため、住宅ローンを組む物件が相談先の地方銀行の営業エリア内にあることが借入をする前提となります。例えば静岡銀行ならば静岡県と東京・神奈川・愛知の一部エリア、という具合です。金利はメガバンクやネットバンクには少しだけ劣りますが、十分に安い金利で住宅ローンを貸してくれる場合が多いです。

ただし地方銀行によって特徴は全く違ってきます。代表的なのはスルガ銀行です。支店のある営業エリアが札幌・東京・名古屋・大阪・福岡の五大都市圏と幅広く展開していて、ネットバンクの利用もできます。ただし金利は2.5%~6%と他と比べて高いです。

金利は高いですが審査が早く借入可能額も大きいため、最後の砦としてローン借入の打診をしておきたい銀行です。賃貸併用住宅を取得する場合には大きなメリットがあり、自宅部分の床面積比率が1/3以上ならOKなため、他行の自宅床面積1/2以上と比べて基準が緩く、収益性を追求した賃貸併用住宅を取得することができます。

私も地方銀行の一つである東京都民銀行から住宅ローンを借りて賃貸併用住宅を建てました。私が住宅ローン借入の承認を得るまでの実例は下記記事でご確認ください。

新築計画の住宅ローンが本審査で承認されました

信用金庫


信金と略されて呼ばれる、地元に密着した金融機関です。地方銀行よりもさらに営業エリアが狭いため、取得したい物件の地域名で検索すればすぐに住宅ローンの打診ができる信金は分かります。私も自宅である賃貸併用住宅の住宅ローンの審査を受けました。

地域密着の運用をしているため家族や親族が事業を経営してお世話になっていたりすると、家族・親族の積み上げた信用を評価対象として見てくれたり、様々な住宅ローンの借り入れ方法を検討してくれたりと、非常に柔軟に対応してくれます。

賃貸併用住宅を始まりとして、地域密着で不動産投資をする場合には非常に頼もしいパートナーとなる金融機関です。住宅ローン金利は地方銀行と同じレベルの安さで使い勝手も良いです。

ろうきん(労働金庫)


労働金庫も信用金庫と同じく営業エリアが限られている金融機関です。ただし違いは労働金庫の場合、会員かどうかで住宅ローンの金利が変わる点です。例えば中央労働金庫の場合、変動金利が会員ならば0.625%ですが、会員でない場合は0.775%となっています。会員であればとても安い金利で住宅ローンを借りることができます。

ただ労働金庫の会員といっても、住居や勤務先住所が営業エリア内にあって、定期預金を100万円以上預金しているなど、特に難しい条件ではないので会員として低金利の住宅ローンを享受することは簡単です。金利がかなり安いので、打診する時間が確保できるならば一度は相談しておきたい金融機関です。

ノンバンク


ノンバンクの大きな特徴は銀行と違って口座を開設することができず、自分で用意した銀行口座に住宅ローンの借入金を振り込んでもらい、同じく銀行口座を利用して返済をしていくという形式で運用されます。住宅ローンを扱うノンバンクはモーゲージバンクと呼ばれます。

モーゲージバンクという言葉はあまり聞き慣れませんが、欧米などでは住宅ローンの借り入れ先の主流となっており、日本でも住宅金融支援機構が取り扱うフラット35が有名ですね。

またノンバンクと言えば、いわゆるサラ金が有名で怖いイメージがありますが、住宅ローンで有名なフラット35や財形住宅金融などもノンバンクに分類されます。意外と知られていませんが、日本生命も住宅ローンを取り扱っています。

ただしノンバンクは銀行と比べて住宅ローンの金利がやや高いことが多いです。三井住友トラストL&Fはスルガ銀行のように金利が高い代わりに審査が早く柔軟な対応をしてくれる金融機関です。また日本生命はニッセイ住宅ローンという名称で住宅ローンの取り扱いがありますが、融資上限5000万円までで金利もやや高めです。

一方でSBI系列のARUHIなど、固定金利でとても低い金利で住宅ローンを借りられる金融機関もあります。ARUHIの場合、当記事の執筆時点で借入9割以下・35年固定が年1.1%の金利です。フラット35の取り扱いトップの金融機関として有名です。

ノンバンクは金利が高いと思いこんで選択肢から外さず、金利が安いところもありますし、借入が厳しい職業の人にも柔軟に対応してもらえるので、一度は検討してみることをオススメします。

信託銀行


信託銀行と銀行の違いは取扱い業務の範囲の違いです。自宅を購入して住宅ローンを借りる時、不動産の仲介は不動産会社が行い、住宅ローンの借り入れは銀行から行います。これが信託銀行だと信託銀行一社だけで不動産仲介も住宅ローン借入も完結できてしまうのです。他にも遺言作成や遺産相続などで信託銀行を利用することが有名です。

さらに見逃せないのが、住宅ローンの金利がかなり安いことです。例えば三井住友信託銀行の住宅ローンは変動金利で0.6%とかなり低い金利で借り入れができます。同じグループの三井住友銀行の住宅ローンは変動金利で0.625%ですから、メガバンクよりも低い金利提供を実現しています。

信託銀行は一般人で利用できるか不安、敷居が高い、という印象がありますが、普通に口座を開くこともできますし、金利の高い定期預金に預け入れることもできます。ただし支店の数はメガバンクのほうが多いなど現金の入出金といった利便性を考えると、銀行としての利用というよりは資産運用を目的とした利用をすることになります。

信用組合


地域密着で自宅や勤務先が営業エリア内にないと住宅ローンを貸してくれないのは信用金庫と似ています。信用組合の場合、信用金庫よりも規模の小さい企業が組合員となり融資対象となるため、信用金庫よりも少し規模が小さい営業所が多いです。

また住宅ローンを借り入れるには組合員であるか、組合員になることが必要で、ほとんどの信用組合では出資を求められます。元々が相互扶助の仕組みを目指した組織なので、サービスを受けるのに出資が必要なのは納得できる理由です。なお出資金は1000円以上などになっていることがほとんどなので、住宅ローンを個人で借りるのは難しくありません。

なお金利はメガバンクほどではないですが低い金利で住宅ローンを提供しており、2016年現在で調べると変動金利で1%以下の信用組合も多く、低金利で住宅ローンを借りられます。親身に相談に乗ってくれてローンの組み立て方も柔軟に対応してもらえるので、購入予定の不動産が営業エリアとなっている信用組合があったら調べてみることをオススメします。

JAバンク(農業協同組合)


JAは基本的に農業発展のための組織ですが、農家でなくても准組合員として住宅ローンを借りることができます。何といっても特筆すべきは金利の低さ!変動金利で0.675%など、かなりの低金利で住宅ローンが用意されています。

支店の数も多いので、不動産を購入検討している地域の支店をチェックしておくべきです。

公的機関(公的融資・公的ローン)


公的融資の大半は前述した住宅金融支援機構が扱うフラット35です。ただしフラット35の場合、利用者に直接融資をするのは民間の金融機関で、債権譲渡などで背後に住宅金融支援機構が関わっているという仕組みになっています。

他に有名な公的融資に自治体融資がありますが、大半が助成金・補助金であり、ごく一部の融資を取り扱う自治体でもリフォーム融資程度です。住宅購入用に多額の融資をしてくれる自治体は見たことがありません。ただし多くの自治体で補助金制度を行っていますので、住宅ローンの借入先探しと並行してチェックしておくことで、数十万円は得する可能性がありますので必ず調べておきましょう。