相場より安い土地だから買うんですか?


マイナス金利の発表があってから、住宅ローンの金利が全期間固定でも1%を切るような商品が出てくるようになりました。そのために住宅ローンの借り換えや、住宅自体の買い替えをしたいと、私の元に相談に来る友人知人が増えています。

通常のマイホーム購入についてだけではなく、賃貸併用住宅のプラン作りや不動産投資について多くの友人知人から相談を受けてきましたが、不動産の知識や経験が少ない人ほど相場より安い物件を探そうとして必死になっていることが多いです。

もちろん私も相場より安い不動産を買いたいですし、実際に何ヶ月~何年も市場を観察することで割安な物件を見つけ出し、すぐに転売しても利益が出るような物件も購入してきました。

ただ、自宅である賃貸併用住宅が建てた土地を購入した時には、相場よりも割安であることは理由のほんの一部で、実際は違う観点から土地の購入を決断しています。今回は賃貸併用住宅を新築するための土地探しを例に、相場より安く物件を購入することでハマりやすい落とし穴について見ていこうと思います。


目的を忘れて割安な土地探しに没頭する人々


土地探しは難しい


賃貸併用住宅を建てたいと思った場合、土地を持っていない一般的な世帯の人は土地探しから始めることになります。土地を持っていても賃貸経営が長期的に成り立たない土地の場合、売却してより都市部の土地を探すことになります。

ただし賃貸事業をしたことがなかったり、賃貸物件を相続などで引き継いだだけで管理会社にお任せしている場合、賃貸併用住宅を建てるための良い土地の探し方が分からないため、知人の詳しい人やプロに相談して土地の探し方を教えてもらうことになります。

ただし土地は同じ地域にあっても全く同じ条件の土地というのは存在しません。隣り合う土地であってすら、全く条件が違う場合もあるのです。接する道路の方角や幅、土地の形、隣接する敷地の建物や状況など、土地の存在する街だけでなく、その場所その場所で個別の状況があるのです。

そのため目星を付けた土地が賃貸併用住宅に向くのか、詳しい人に相談するわけですが、私が相談を受ける場合に必ず質問されることがあります。それが「この土地は相場に比べて安いですか?」という内容です。

相場より安い土地を見つけたら満足ですか?


土地は様々な個別要素があるものの、土地+建物+入居状況の組合せになっている一戸建てやアパートほど複雑ではないため、相場から大幅に割安となっている物件はほとんどありません。しいて言えば変形地である敷地延長・旗竿地の土地であったり、借地権の土地、崖地、再建築不可の土地などは坪単価が安いですが、土地の利用価値はやはり割安な価格に見合った価値になります。

そのため相談を受ける土地の坪単価の多くは相場並か、相場より1割ほど高い程度のものが多いのですが、そのことを伝えると土地の利用価値のことは考えもせずに見切ってしまい、新しい土地探しに奔走しようとする人が多いです。

例えば…
  • 妻の実家に近い
  • 希望していた人気エリア
  • 日当たり抜群
  • 希望学区内
  • 賃貸需要の手堅い駅近の立地


こうした希望条件を満たしているのに、相場より高いという理由で見切ってしまう例を何度も見てきました。その土地は希望通りの条件だけど、高いから買えないとか、同じ条件でもっと安い土地があるはずだ、などと言って購入するという決断を先送りにするのです。

賃貸併用住宅を建てるなら土地が割高でも購入してOK


賃貸経営は時間をお金に変えてくれる


実はこうした割安の土地を探すという行動は、賃貸併用住宅の場合はあまり意味がありません。当然上手く割安な土地を買えるほうが良いのですが、割安な物件を探すよりも、早く賃貸併用住宅を建てて家賃収入を手に入れることを急ぐほうが結果的に得をする場合がほとんどです。

賃貸経営というのは不動産という高額なものを建てて、家賃をもらって長い時間をかけて回収する商売です。時間をお金に変えていく商売なのです。つまり賃貸経営をする時間が長ければ長いほど、売上や利益が増えるという仕組みになっています。

そのため滅多に出てこない割安な土地を探し続けて何ヶ月・何年も経ってしまうよりも、早く賃貸併用住宅を建ててしまえば、土地探しの期間を家賃収入を得る期間に変えることができるのです。しかもその間に賃貸住宅に住んでいたらその支払い家賃分も損をすることになります。

私の家の場合、毎月約20万円のお金を生み出してくれていますから、もし今住んでいる土地の購入を決断せず、一年後に賃貸併用住宅を建てて暮らしていたら20万円×12ヶ月=240万円の収益差が出ています。さらにその期間に住んでいた賃貸住宅への支払い家賃約100万円もありますから、実際の収益差は340万円です。土地購入が遅れるだけで、毎年340万円ずつ損をしているのと同じです。

つまり時間をお金に換えてくれる賃貸併用住宅の場合、土地が高くても早く建物を建ててしまって、家賃収入を得るようにすることのほうが正解なのです。もちろん賃貸需要のない立地では家賃収入を得ることができませんから、賃貸経営が成り立つ立地であることが前提です。逆に言えば、賃貸経営が成り立つような立地の土地であれば、割高であっても早く購入すべきだということです。

賃貸併用住宅の場合は自宅という側面もありますから、家賃収入がそれなりに手に入りそうで、自宅としても住んで良い立地だったら、すぐに土地の購入を決断するべきです。相場より土地が多少高かろうが関係ありません。土地が高い分は家賃収入で回収すれば良いだけです。

土地の相場が上がり過ぎだったら買わないんですか?


最近はアベノミクスのために土地が高い、不動産価格が天井だと言われることもありますが、これも実はあまり関係はないのです。家賃収入をキッチリ得られる立地を選んで賃貸併用住宅を建てれば、景気が悪くなって土地の価格が下がっても家賃はほとんど変動はありませんから、コツコツと家賃を受け取り続けて資産形成していくだけです。

不動産会社のように数年以内に土地を転売して利益を出す、という商売とは違いますから、賃貸経営や自宅としての価値があると思った土地はすぐにでも購入して建物を建てるべきです。

つまり普通にマイホームを取得するだけの場合に比べて賃貸併用住宅は家賃収入を得られる分、より良い立地や広い土地、希望の条件の土地を高い価格で買っても良いということです。価格が高ければ住宅ローンの借り入れ金額が増えますが、1%を切るような金利になっている今の市況では、家賃収入とローン返済の毎月の収支が見合うならば、その土地は買いだと言えます。

もし少しでも気になる土地があればすぐに問い合わせをして下さい。1週間迷うだけで、将来得られる家賃収入が5万円減るのです。時は金なり、を体現することになるのです。どんどん行動し、決断することで未来の成功の確率をぜひ上げていってください。