賃貸併用住宅に住んでいることで経済的なメリットがあるのは家賃収入があるからです。しかし家賃収入というのはあくまで入居者がキチンと毎月家賃を振り込んでもらって初めて受け取れるものです。中には家賃を支払わないまま居座る入居者もいます。
そこで今回は家賃滞納が起きた時はどうすれば良いのか、賃貸住宅の管理方法別に対処法を確認していきます。最悪の事態を想定して事前に学習しておけば、リスクに対して不安な気持ちを持つ必要もなくなります。リスク回避・不安解消のためにもぜひ確認してください。
自主管理をしている場合
私の場合は賃貸経営の経験を積みたいという意思があるので、賃貸住宅部分は不動産会社に管理を委託せずに自主管理にしています。これから賃貸併用住宅を建てたいという知人・友人にも自主管理を勧めています。毎月の家賃の入金確認や、入居者からの問い合わせ対応を自分で行うことになりますが、わずかな時間で終わりますし、自分で対処できないような事柄は何も起こりません。
ちなみに私が2007年に小さなワンルームマンションで不動産投資を始めた時も自主管理にしていましたが、8年後に売却するまで小さな問題はあるものの、解決できないような問題は発生せず、平日はサラリーマンをしながら十分に自主管理で対応ができました。
ただし自宅から離れている他の投資物件の管理は不動産会社に委託しています。廊下の電球が切れたと連絡を受けて、わざわざ2時間もかけて自分が現地に駆け付けるよりは、管理会社に管理委託料と手間賃を支払って対応してもらうほうが効率的です。
とは言え、自分が駆け付けることができる範囲の物件ならばサラリーマンの兼業大家さんでも自主管理は十分可能です。賃貸併用住宅なら自宅と賃貸住宅が同じ敷地内ですから、対処できない問題などほとんどありません。
自主管理をしていて困るのは家賃滞納ですが、なにも恐れることはありません。以下の各段階別に必要な対応を取っていけば良いだけです。
1.督促状を出す
家賃滞納のほとんどは振り込みを忘れているか、覚えているけれども一時的な金欠のために家賃支払いが遅れていることがほとんどです。丁寧な文面で督促状を出せばほとんどの入居者はすぐに振り込んでくれます。もし支払い家賃を用意できない入居者でも、連絡をくれていつ支払うつもりかを説明してくれます。ほとんどの家賃滞納はこれだけで解決します。
もし家賃保証会社を利用しているならば、家賃が未納になっていることを期日内に家賃保証会社に連絡すれば、代位弁済(保証会社が入居者の代わりに家賃を大家に支払う)を受けられます。保証会社が代位弁済してくれる連絡期限は、家賃滞納となった月末から翌月10日までなどと短いことが多いので、保証会社から代位弁済を受けられる連絡期限は把握しておいてください。
家賃滞納は督促状を出すか保証会社に代位弁済の依頼連絡をすることで問題の9割は解決します。なので家賃滞納を恐れる理由はほとんどないのです。
2.滞納家賃について入居者と話し合い
家賃滞納があり、保証会社の加入もなく、督促状を出しても入居者に支払いができるだけの現金が用意できない場合、入居者と話し合っていつ滞納家賃を振り込んでもらうのかを決めます。翌月分の家賃と一緒に2ヶ月まとめて支払ってもらったり、分割して翌月以降の家賃に上乗せして支払ってもらったりします。
家賃滞納に対して督促をしてもすぐに支払えない入居者のほとんどはお金に対してとてもルーズな人ばかりです。お金の管理ができないため、期限の管理なども甘いことが多いので約束した期日に振り込みを忘れることも多いです。
こうした人には厳しくハッキリと金額や期限を決めて接しましょう。ここまでの状態になっても悪意のある人というのは少なく、単純にルーズなだけで大家さんに対して負い目を感じている入居が多いです。厳格に管理してあげることで入居者を育てる意識が大事です。時々は滞納されることはあっても、長く住んでもらえることも多いので適切に付き合っていってください。
3.滞納が2カ月連続した場合
話し合いの結果、家賃を分割払いで翌月以降に上乗せして支払うなどの約束をしても、本当に経済的に苦しい入居者や悪意のある入居者の場合、もし2カ月連続で滞納をしてしまったならば黄色信号です。経済的に破たんしかかっているか、家賃を支払う意思がないので強い文調の督促状を出したり、電話や直接訪問で厳しく詰問しましょう。
ただし入居者が出掛けている間に勝手に鍵を取り変えて部屋に入れなくしてしまうのは違法です。入居者から逆に訴えられてしまいますので、追い出したい気持ちを抑えながら粘り強く督促・交渉します。
この段階で早くも弁護士に相談をしたくなりますが、まずは入居者を仲介してくれた不動産会社などに相談し、第三者から冷静な立場で入居者を説得してもらうほうが先決です。2カ月連続滞納を乗り越えられれば大抵の滞納問題に対処できるようになり、費用を掛けずに賃貸経営をできるチカラが身に付きます。
4.滞納が3カ月連続した場合
3カ月連続で家賃滞納となれば強制執行による入居者の追い出しができるようになります。現実的にもこれ以上住んでもらっても家賃を支払ってもらえる可能性は低いため、裁判所を利用しましょう。ここでも勉強のために弁護士にお金を払って依頼するのではなく、自分で裁判所を利用できるように勉強しておくことをオススメします。
まずは調停により入居者と話し合いをして、退去するのか、滞納家賃の分割払いか、裁判所内でキッチリと約束を取り付け、文書にして取り交わします。もしこの約束を破ったら即追い出す効力が発生しますから、ここまで来てやっと家賃滞納が直る入居者もいます。
行ったこともない裁判所に呼び出され、裁判官の前で家賃支払いの約束をさせられる訳ですから、一般人なら普通はビックリして自分の過去の過ちを後悔するでしょう。私はここまでの経験はありませんが、起こっても大丈夫なように常に学習を続けています。
5.強制執行により滞納を続ける入居者を追い出す
ここまでしてもまだ滞納を続ける場合は、法に従って強制執行の手続きを行い入居者を追い出します。強制執行の手続きすら裁判所に教えてもらいながら進めれば、弁護士費用を支払わなくても自分で強制執行手続きを行うことができます。
ただしここまで状況が悪化するのは本当にごくわずかな場合だけです。よほど手広く賃貸経営を行わない限り遭遇しませんし、賃貸併用住宅だけならばここまで苦労する案件が起こることはほとんどないでしょう。
ただし知識として持っておけば、万が一の時にも自分が対象できるために、将来起こるかもしれないリスクに対して不安に思う事もなくなります。賃貸併用住宅を建てるならば、家賃滞納についての知識は身につけておくようにしたいものです。
不動産会社に管理委託している場合
不動産会社に毎月の家賃の3~5%を支払う事で、賃貸住宅の入居者管理と対応を代行してもらえます。個人で賃貸経営をしているほとんどの大家さんが管理委託をしています。自主管理をしている大家さんというのは少数派です。
家賃の入金についてほとんどの場合は入居者から管理会社に振り込まれ、管理会社から管理委託料と振込手数料を差し引いて大家さんに振り込まれる形式になります。その代わり、管理会社が滞納家賃に対する督促や保証会社への代位弁済連絡、入居者との話し合いまでを管理会社が対応してくれます。
管理委託をしている場合で大家さんにまで滞納の話が来るときは、かなり深刻な状況になってから初めて話を持ち込まれることになります。具体的には滞納が2カ月連続した場合が目安で、管理会社は入居者を追いだす準備を始めることになります。
このように管理会社に入居者管理や家賃の入金管理をしてもらっている場合でも、家賃滞納への対処法を知っておくことは管理会社への適切な指示出しや判断を下すのにとても有効です。万が一の状態に備え、家賃滞納に関する学習は続けるようにすることをオススメします。