賃貸併用住宅を建てた後で一番後悔していること


私はいま賃貸併用住宅に住んでいるのですが、1つとても後悔していることがあります。家賃収入は順調に得られていますし、自宅の住み心地、家の建っている立地ともに非常に満足しているのですが、新築する時にしかできなかったある事をしませんでした。

もし実施していれば賃貸併用住宅の価値を飛躍的に向上させることができたのですが、施工段階でないとできないことなので、すでに建物が完成して住んでいる今となっては後悔してもできないことです。

今回は賃貸併用住宅やアパートを新築する人に必ず実行して欲しい、わずかな投資で建物価値を大幅に上げることのできるお話しを共有したいと思います。


劣化対策等級


建物価値を大幅に上げるものとは、劣化対策等級のことです。賃貸併用住宅の場合は小規模な共同住宅に該当しますから、10~30万円ほどで劣化対策等級の取得が可能です。

劣化対策等級というのは1~3までの3段階あり、等級1は建築基準法を守っていれば取れる一番低いレベルで、等級3が最も高いレベルで建物の耐久性が高いことを示すものです。等級が1つ上がれば25~30年の耐久期間が伸びるとされているので、等級2なら50~60年、等級3なら75~90年は建物を使い続けることができるレベルということです。

なぜ劣化対策等級で建物価値が飛躍的に上がるのか


建物が長持ちするということは建物の価値が高いというのは分かりますが、あくまで性質的な話であるうえに、経済的なメリットを得られるようには見えません。ところが、この劣化対策等級を取得していると劇的に資産価値を上げることができるのです。

なぜかというと、賃貸併用住宅やアパートで劣化対策等級2級以上を取得していると、銀行や金融機関によっては通常木造の耐用年数は22年としているのが、劣化対策等級の取得で耐用年数30年として融資期間を考慮してくれるのです。

賃貸併用住宅は中古物件として売却する場合、賃貸住宅に入居者がいるままだとアパートと同様に投資用物件(事業用物件)として売却することになりますが、木造の投資用物件の融資期間は耐用年数以内が基本です。つまり木造だと「22年-築年数」が最大融資期間となります。

木造の建物が築10年になった時の価値の違い


例えば木造アパートは築10年となると最大融資期間が12年となってしまいます。ここで劣化対策等級2級以上を取得していると最大期間が30年になり、築10年時点でも木造で20年間の融資を受けることが可能になります。

12年と20年ではその期間の違いの分だけ毎月のローン返済額が変わりますから、キャッシュフローが出やすくなって投資物件としての価値は大幅に上がることになります。単純に考えれば建物価値が1.7倍になるのです。

特に利回りが低い都心の好立地では、家賃収入に対してローン返済額の割合が大きく、キャッシュフローが出にくいために、融資期間が1.7倍になることで毎月の手残り金額が数倍違うということも珍しくありません。

木造の賃貸併用住宅を3000万円で建築したとすると、劣化対策等級を取らない状態では22年で価値ゼロに向けて急激に資産価値が落ちていくことになります。築10年では3000万円÷22年×12年=1364万円になってしまいます。

ところが劣化対策等級を取っていれば3000万円÷30年×20年=2000万円となります。その差は約640万円にもなります。銀行評価が大きく変わることで売却した時に買い手がアパートローンを組みやすくなり、結果的に高値で売却できることになるのです。

不動産の購入はほとんどがローンを利用して買うことになりますから、銀行評価の大きさ、特に最大融資期間(耐用年数)は建物価値に直結しているのです。数10万円という投資で600万円以上の価値向上ができる投資など、不動産投資の中では最高と言って良いほどの投資効率です。


賃貸併用住宅のローン打診でヒントをもらっていた


私がいま住んでいる賃貸併用住宅を建てる時に、りそな銀行からこの劣化対策等級による融資期間延長を提案されていました。具体的には金利1.775%で融資期間22年として提示されていたのですが、劣化対策等級2級以上を取れば融資期間は30年に伸ばします、と提案されていたのです。

結局都民銀行から1%を切る金利で、劣化対策等級を取らなくても35年間の住宅ローンを借り入れることができたので、劣化対策等級を取らないまま建物の建築を進めてしまいました。

劣化対策等級取得に向けて動かなかったことで、私の賃貸併用住宅は500~1000万円もの価値向上のチャンスを逃してしまいました。この失敗は本当に後悔しています。

劣化対策等級は施工段階と完成後の検査機関の検査後に、「住宅性能評価書」を交付されることで証明しますから、賃貸併用住宅を新築する時にしか取得できません。これから賃貸併用住宅を建てたいと考えている人は、必ず劣化対策等級2級以上を取得することを忘れないようにしてください。

私の後悔が少しでもお役に立てると嬉しいです。