不動産や建物のプロでも賃貸併用住宅もプロレベルとは限らない


賃貸併用住宅を建てようと考えたとき、まずは書籍やウェブサイトで情報を集めると思います。そうしてある程度の知識が身に付くと、実際に取得するためには不動産や建築のプロに相談することが必要だと気付き、問い合わせや資料請求を通してプロに相談するという行動を始めます。

行動力のある人の場合、最初からプロに相談しようと動き出す人もいます。不動産は不動産会社やハウスメーカーや工務店、建築士、銀行、司法書士といった多くのプロの手助けがないと作り上げることができませんから、プロに相談をするというのは必要な行動ステップです。

ただし賃貸併用住宅の場合、土地や建物などの各分野のプロだけではなく、賃貸併用住宅という全体像についてベストな企画ができることが必要です。一般的な一戸建てとアパートの両方の知識が必要なうえに実例が少なく、賃貸併用住宅のプロは非常に少ないのが現状です。

ではどうすれば良いのでしょうか?

自分が行動し知識を身につけるのが最も近道


賃貸併用住宅を専門領域として活動している不動産会社も数は少ないですが存在します。私も賃貸併用住宅を建てる時にはお世話になりました。ただし数少ないプロに相談が集中しているため、土地と建築プランの情報提供待ちの人はなんと100人もいると言われてしまいました。

そこで私が選んだのが自分で知識を身に付け、土地情報を探し出してチェックと企画だけしてもらうという方法でした。結果的にこの方法は大正解で、自分の納得できる土地を非常に割安な金額で購入することができました。

そもそも賃貸併用住宅の土地と建物プランをプロからもらうとしても、その企画で実際に土地を取得し建物を建てるという決断をするには、ある程度の知識は必要になります。

私の場合は土地情報を探すために良さそうな土地情報を見つけたら不動産会社に問い合わせをして賃貸併用住宅を建てたい旨を相談しました。さらに賃貸併用住宅が展示されている住宅展示場に出掛けて、ハウスメーカー各社に賃貸併用住宅を土地から購入して建てたいことを伝えました。

土地持ち以外は対応しませんとやんわりと断られたり、その年収で賃貸併用住宅は無理ですよと問い合わせ先の会社に言われながらも、行動することで生きた知識をどんどんと身に付け、自分で見つけた土地に納得のいく賃貸併用住宅を建てることができたのです。

賃貸併用住宅の全体像と要素


賃貸併用住宅の生きた知識を効率的に身につけるには、全体像を知っておくことで驚くほど効率が上がります。土地を所有している人とそうでない人の場合は必要な要素が少し変わりますが、賃貸併用住宅を建てるまでの手順を見ていきましょう。

1.購入する土地を決める

自分が住みたいと思う地域で、長期的な賃貸需要を調べ、希望する建築プランが入るような土地を探します。土地を所有している場合はその土地に賃貸需要があり続けるかを調べて、需要がない場合は土地を売却することを検討します。

2.建築プランを考える

良さそうな土地が見つかったら、その土地に当てはまる賃貸併用住宅の建築プランを建築士やハウスメーカーの設計担当者に作成してもらいます。素人では建蔽率や容積率でおおまかな床面積の建物を考えるのが限界ですが、北側斜線制限・道路斜線制限・自治体の条例・間取りまで落とし込んで具体化しないと、建築費の概算も出せないですし住宅ローンの打診もできません。相談できる設計のプロを早めに見つけておくことをオススメします。


3.見積もりを取り住宅ローンの打診をする

土地と建築プランが決まれば、あとは実現に向けて様々な確認事項を一つずつ明確にしていくことになります。なお銀行は話が流れてしまっては審査をする意味がないため、土地を購入する倍は先に契約を済ませないと対応してくれない場合もあります。もし希望するローンを借り入れ出来なくても、ローン条項という項目があるため土地契約を無条件で解除できるので大丈夫です。

土地を押さえ建築プランを元に建築費用の概算をハウスメーカー・工務店に出してもらったら、銀行に住宅ローンの借り入れ相談をします。所持金や保有する金融資産・不動産や他で利用しているローン、年収について整理し、賃貸併用住宅プランと一緒に書類を提出して審査結果を待つことになります。

4.土地の決済とハウスメーカーとの建築請負契約

プランが決まり、住宅ローン審査も通過したら契約や決済を済ませます。土地に古家がある場合は解体業者への依頼も必要になります。特にハウスメーカーとの建物建築請負契約はしっかりと目を通して、不備不足がないかよく確認しておきましょう。

5.住宅設備の仕様変更対応と建物引き渡し

建物の建築が始まればあとはプロに任せて途中経過を確認するだけです。ただし工事が始まると近隣から要望が入ることがあります。私の場合は窓が向かい合わせになるから目隠しを付けてほしいという要望と、洗濯物が見えるのは嫌だから仕切りを付けてほしいという要望がありました。

優先順位付けとバランスを取るのは誰か


先ほどの賃貸併用住宅の完成までの全体像のうち、1と2の土地探しや建築プランを決めるのは施主である自分自身が中心です。この決断が成功か失敗かを左右することになります。

賃貸併用住宅を専門分野とする不動産会社の中には、この土地と建物をセットにした企画内容を提案してくれる会社もあるため、とても簡単に賃貸併用住宅を建築することもできますが、プロを頼る人は非常に多くいて買い手同士の競争もありますし、不動産会社も50点ぐらいの企画から80点ぐらいの企画まで、提案してくれる企画の内容にも大きな差があります。

さらに資産価値重視なのか、家賃収入の最大化か、自宅としての立地や設備を優先するのかといった優先順位付けや各要素のバランスを取るのは自分自身にしかできません。自分の目的に合わせて、資産形成ならば土地と不動産の知識を伸ばしたりする、というように自分の目的をしっかりと考えてどこに自分の労力を使うかを決めておきましょう。

相談し行動しながら知識を磨く


判断するための知識が重要だ、と何度も主張してきましたが、ウェブサイトや書籍の勉強だけでは頭でっかちになるだけで、実現に向けて活かすことのできる生きた知識はプロとの会話や交渉の中で磨いていくしかありません。

賃貸併用住宅の専門会社、不動産会社、ハウスメーカー、建築士など、どの分野からでも良いので、まずはプロに相談する時間を作ってみて下さい。賃貸併用住宅を建てたいというハッキリした目的があり、自分の年収など経済状態を開示すれば、プロも的確なアドバイスをしてくれるようになります。

様々なプロと接することで自分が何を重要視しているかも見えてきますので、多くのプロと会話してみることをオススメします。