実際に検討した賃貸併用住宅の土地と間取り その2

賃貸併用住宅として私が実際に検討してきた新築用の土地と建物の間取りや、購入しようとした中古の賃貸併用住宅についての実体験をご紹介していきます。

具体的な間取りまで検討しておきながら購入を見送った理由や、想定していた賃貸併用住宅での家賃収入などをできるだけ具体的に体験談として書いていきたいと思います。

賃貸併用住宅の土地候補4件目


住所:東京都世田谷区
立地:東急人気路線 急行停車駅 徒歩8分
面積:78平米(セットバック後)
用途:第一種中高層住居専用地域
権利:所有権
建ぺい率:60%
容積率:160%
価格:6000万円
形状:南北に長い台形
接道:北側3.4m公道、間口:7.2m
賃貸併用住宅プラン:木造2階建ての長屋タイプ
[1階の間取り]ワンルーム20平米+ロフト10平米付き×2戸
[2階の間取り]1LDK40平米・ロフト20平米付き(自宅)

4件目の土地は東急人気路線から徒歩5分の土地です。高さのある建物を建てようと考えていたので、北側で道路に接しているこの土地は北側斜線制限の影響をほぼ受けないため理想的な接道状況の土地でした。

家賃収入も人気駅徒歩5分という事で11万円×2部屋=月間22万円になるとのこと。住宅ローンの返済額以上とはいきませんが、月数万円の支払いだけで済みそうです。

さらに妻の実家から歩いて1分の場所にあるので、子供を預けやすかったり、親戚同士の助け合いもやりやすいため購入する気で満々でした。ただ土地の間口が6mと住戸が3つある建物としてはギリギリだったため、入口の場所が確保しづらく賃貸併用住宅としてはやや難しい土地の形です。

それでも設計の工夫次第で何とかなるだろうと土地情報を出していた不動産会社に問合せてみると、何と土地情報が出てから5日でしたがすでに明日契約予定とのこと。土地の売れるあまりの早さに驚いてしまいました。とても土地に建てられる建築プランを考えている時間はありません。

ただこの時に土地の買付けすらできなかった実体験が、後に実際に契約する土地を見つけた時に教訓として活かされることになります。

賃貸併用住宅の土地候補5件目


住所:東京都目黒区
立地:東急人気路線 普通停車駅 徒歩2分
面積:72平米(セットバック後)
用途:第一種中高層住居専用地域
権利:所有権
建ぺい率:60%
容積率:160%
価格:6700万円
形状:南北に少し長い長方形
接道:北側4m公道、間口:7m
賃貸併用住宅プラン:木造2階建ての長屋タイプ
[1階の間取り]ワンルーム20平米+ロフト10平米付き×2戸
[2階の間取り]1LDK42平米・ロフト20平米付き(自宅)

5件目の土地は元々は木造二階建ての4戸アパート用の土地として紹介されました。ただし1フロアは42平米と少し狭いので、ロフトを限界ギリギリの20平米まで確保して自宅部分の床面積を確保しなければなりません。

ただ駅2分なので立地は抜群で、普通停車駅ですが東急の人気沿線の駅なので街も発展しており生活利便性は最高レベルです。しかも隣駅は人気のブランド駅なので自転車や散歩がてらのお出かけも楽しめる立地です。

家賃収入は駅近のため1部屋11万円にはなるのではないかと賃貸仲介会社の意見です。月間22万円ならば住宅ローンの支払いを8割程度は補完してくれそうです。

ただ土地の価値自体はとても高いのですが、土地価格だけで6700万円はさすがに手が出ません。しかもちょうどアベノミクスによる建築特需のような状態で、建物の工事代金も跳ね上がっているような状況でした。諸費用含めて1億円超えはさすがに頭金をかき集め、住宅ローンを目いっぱい借りても足りません。

価格が高いという事は、投資する金額に対しての収益率、つまり利回りも低いという事です。資産価値は高いかもしれませんが、普通のサラリーマンである私にはもう少し価格が安く、自宅部分も広い土地を見つけたかったので見送りとなりました。

賃貸併用住宅の土地候補6件目

住所:東京都世田谷区
東急人気路線 急行停車駅 徒歩3分
面積:54平米(セットバック後)
用途:近隣商業地域
権利:所有権
建ぺい率:80%
容積率:240%
価格:6000万円
形状:南北に少し長い長方形
接道:北側2.2m公道、間口:4m
賃貸併用住宅プラン:木造3階建ての長屋タイプ
[1階の間取り]シェアハウスLDKで40平米
[2階の間取り]シェアハウス個室4戸で合計40平米
[3階の間取り]1LDK40平米(自宅)

6件目は誰もが住みたいと思うような立地の土地です。非常に人気があるブランド駅から徒歩3分、オシャレな店舗が建ち並ぶ表通りから一本裏手にある土地です。商業施設やスーパーなどの普段使いの買い物をする店も豊富にあり住みやすい場所です。

ただしさすがにこれだけの駅近だと土地が小さくても価格は高いです。坪単価なんと370万円です。建ぺい率が80%なので目いっぱいの大きさの建物を建てることができますが、防火地域のため耐火建築物にする必要があり、同じ大きさ・間取りの木造の建物の1.5倍は建築費が必要です。

しかも目いっぱい大きな建物を建てても1フロアの広さは40平米弱です。自宅部分も小さいし、賃貸の部屋もシェアハウスにして何とか4部屋取れるくらい。最高の立地なので小さな部屋のシェアハウスでも7万円が精いっぱいなので、7万円×4部屋=28万円が月間の家賃収入です。

さらに悪いことに、この土地にはボロボロの鉄筋コンクリート造の建物が建っているため、解体費用だけで1000万円はかかると言われました。土地が6000万円、解体費用1000万円、建物4500万円、諸経費700万円で合計1億2200万円。わずか月間28万円の家賃収入で、自宅部分も狭いのにこの金額では賃貸経営が成り立ちません。

やはりあまりに立地が良くてもバランスの良い土地と建物でないとダメだということをこの物件を検討することで学びました。