賃貸併用住宅で失敗する代表的なパターン3つ

賃貸併用住宅は低金利の住宅ローンを活用するのが大きなメリットであると同時に、住宅ローンの借入可能額は銀行が安全だと考える金額までしか借りられないので、住宅ローンが返せずに破綻するようなことはほとんどありません。

ただし賃貸併用住宅も不動産投資の一つの手法に過ぎませんので、当然失敗する場合もあります。そこでこの記事では賃貸併用住宅の代表的な失敗例を見ていきながら、どんな事に注意して失敗を防げば良いのかを考えていきたいと思います。

1.想定していた家賃収入が入ってこない


賃貸併用住宅でよくある失敗の中でも一番多い失敗事例です。賃貸経営の視点が甘かったために賃貸住宅の空室が続いたり、想定より安い家賃しかもらえなかったり、競争力のない賃貸住宅のため築年数が古くなると急速に家賃収入が減ったりして、住宅ローンの返済苦しくなるパターンです。

特に元々所有している土地があって賃貸併用住宅を建てた場合にこの失敗が多いです。建物を建てる土地の賃貸需要を自分で調べず、ハウスメーカーの提案する都合の良い想定家賃収入を信じ込んでしまったらほぼ間違いなく失敗します。

ならばハウスメーカーや不動産会社による一括借り上げサービス、いわゆるサブリースを活用すれば良いという考えが出てくるかもしれませんが、サブリースを利用する時点でもう賃貸併用住宅は失敗が確定します。

・サブリースの裏側の仕組み


賃貸需要が少ない地域や賃貸住宅の競争が激しくなりすぎている地域で、ハウスメーカーが賃貸併用住宅をサブリース付きで提案する場合、サブリースを受けることでハウスメーカーは損をします。ただしその損失以上の利益を賃貸併用住宅の建築費用に上乗せする事で、もし賃貸部分に入居者が入らなくても全体的な収支では大きな利益が出るようにしているのです。

しかもサブリース契約はほぼ確実に家主が不利な契約になっているので、一定期間の家賃収入を保証した後は、一方的にサブリース契約を打ち切って来たり、受け取れる家賃収入の減額を要求してきます。

・賃貸経営の視点を持つ


サブリースがないと賃貸経営が成り立たないような土地では、賃貸併用住宅を建ててはいけないという当たり前の事に気付けるかどうかが大切です。もし郊外の土地や駅から遠い土地所有している場合は、土地を売って賃貸需要の高い立地の土地に買い換えてから賃貸併用住宅を建てることをオススメします。

基本的には賃貸需要の高い都市部で、駅から近い土地を選ぶ事で失敗が避けられます。賃貸併用住宅に向く土地は、面積が小さいうえに価格は高く見えますが、それだけの価値があるという事なのです。

2.住宅ローン返済期間が短かすぎて資金の余裕がない


住宅ローンは通常35年間の返済条件で借りますが、ローンの借入期間が長いとその分だけ支払う利息の総額が大きくなります。そこで銀行への総支払利息を抑えるために、自分が毎月支払う事ができるギリギリの返済額に設定して、少しでも早く住宅ローンの元金を減らすという考え方が自然と湧いてきます。

ところが早期に住宅ローンを返し終わろうと無理をすると、手元に資金がほとんどないため、一時的な多額の出費が必要になったり、賃貸部屋が空室になって家賃収入が入らなくなると一気に収支が苦しくなります。

下手をすると低金利の住宅ローンを無理して返済するために、カードローンなどの高金利なローン利用する羽目になる事もあり得るのです。

・余裕から生まれる選択肢の広さが大切


賃貸経営は修繕費などの突然の出費や、入居者の退去によって収支が変動する可能性があるので、住宅ローンの返済額に余裕を持たせるために、できるだけ長期間の借入にするほうが良いです。余分に払う事になる利息は、有事への備えとしての保険料のようなものです。

もし手元に現金が貯まってきたら繰り上げ返済をすれば良いだけです。カツカツのローン返済で選択肢がない状態は避けて、余裕を持った返済額にして手元に資金を残すことで、様々な対応が取れる状態にしておく事が大切です。

3.金利の高いローンで無理に賃貸併用住宅を建ててしまう


賃貸併用住宅を建てる土地が見つかり建築プランも作って住宅ローンの審査まで進めば、あとはどこかの銀行から融資をしてもらえれば賃貸併用住宅が建築されるのを待つだけです。ところが予定していたような低金利で住宅ローンを借りられなかった場合、金利の高い銀行で借りるか、ローン特約を使って土地の契約をやめるかの二択になります。

金利の高い銀行は住宅ローンの借入可能金額も大きく審査基準も緩いため、他の銀行で住宅ローンを断られた時には頼りになります。具体的にはスルガ銀行が金利が高いけれど借入可能金額が大きい銀行の代表格です。

土地も契約して建物の構造や間取りも決めたら、例え金利が高くてもそのまま賃貸併用住宅を建てたくなりますが、落ち着いて考えることが大切です。賃貸部分が少なく家賃収入があまり見込めない間取りだったり、少し割高な土地だけど住宅ローンが低金利であることを見込んで無理をして購入しようとしていた場合、ローン特約を使って土地や建物の契約をやめるほうが賢明です。

・家賃収入があると住宅ローンの審査が有利になる


ただし金利が高い住宅ローンを借りる場合でも、それなりの家賃収入が見込める場合は賃貸併用住宅を建ててしまうほうが良い結果になります。なぜなら、賃貸併用住宅から得られる家賃収入によりあなたの収入が増えると、よりよい条件で住宅ローンを借りることができるようになります。

そうなれば住宅ローンの借り換えをすることで低金利の住宅ローンに組み替えることができます。毎月の返済額は少なくなり、返済額における元金返済割合も増えるので資産の増加スピードが一気に上がるのです。

一度金利の高い住宅ローンを借りると、一括返済手数料や最初の2~3年の高い金利の利息払いは必要ですが、家賃収入が多く見込めたり、割安な土地を購入できるならば多少金利が高くても賃貸併用住宅を取得してしまいましょう。

ただし決して無理をして建ててはいけません。金利が高くても十分に毎月の返済を行う余裕がある場合だけ賃貸併用住宅を建てて下さい。住宅ローンの短期返済と同じ罠にかからないよう、住宅ローンの借り換えでも、繰り上げ返済でもできるような選択肢がある状態になることが大切です。