つまりたくさん無駄遣いをしていたり、収入に比べてたくさんのローンを抱えていたり、貯蓄の習慣がなくお金をすぐに使ってしまう人には、当然ですが銀行は住宅ローンを貸してくれません。貸したとしても小さな金額だったり、高い金利でないと貸し出さなかったりするわけです。
住宅ローンは普通の社会人が利用できる最も優遇された融資ですので、自分が引き出せる最高のローン条件になるように、事前に準備しておくことが大切です。では具体的にどんな事をしていれば良いか見ていきましょう。
世帯収入を増やす
当たり前ですが、住宅ローンの最低金利を適用してもらったり、できる限り大きな金額を融資してもらうためには、自宅を買おうとする世帯(家族)の収入を増やすのが一番効果的です。結婚している場合は共働きがベスト。もし子育てに手間がかかるのでフルタイムで働けない場合でも、パートで働くなり内職をする等で、とにかく収入を増やすことで有利になります。
他にも小規模でも良いので不動産投資で家賃収入を得ていたり、ヤフーオークションなどで稼いでいたり、サイドビジネスで事業所得があったりして本業以外の収入があれば、これらも収入として考慮してもらえます。ただし不動産所得や事業所得がマイナスの場合、住宅ローンの審査にもマイナスに働いてしまいますので気を付けてください。
現状利用しているローンを完済する
自動車やバイクのローンだったり、教育ローン、消費者金融からのローンなどは他からの借入金があるという事なのでマイナス査定され、住宅ローンの借入可能額を減らされてしまいます。借入ではありませんが、クレジットカードの分割払いも意味合いは同じなので、こちらもマイナス査定になります。
特に消費者金融からの高金利での借り入れをしている場合、それだけ高金利の借入が必要なほど生活に困っていると思われ、住宅ローン自体を借り入れることが出来なくなります。自動車ローンやバイクローンがある場合、できれば自動車やバイクを売ってローンの残金を清算してしまうのがベストです。
現金をできる限り用意する
親や祖父母など頼れる親族や人脈をフル活用して、住宅取得資金の援助をしてもらったり個人間での借り入れをして、手持ちの現金を出来る限り多く準備しましょう。手持ち資金が多ければ、それだけ安全な貸し出し先として見てもらえるので、住宅ローンの条件が優遇されます。
預金連動型住宅ローンはまさに手持ちの現金の多さで好条件を引き出せる良い例です。特に賃貸併用住宅の場合は取得してしまえば家賃収入により収入が増えますので、個人間の借り入れで返済する必要がある資金でも、家賃収入から返済していけば特に負担にはなりません。
また親や祖父母からの資金援助を受ける場合、贈与税の非課税枠の金額(2015年は1000万円)を把握した上で援助してもらう金額を決めるように気を付けましょう。この贈与税の非課税枠は税務署に申告が必要だったり、購入する住宅に様々な条件があったりします。よく調べてから活用することをおススメします。
複数の銀行に住宅ローンを申し込む
住宅ローンの借り入れができる銀行や信用金庫は本当にたくさんあります。これらの金融機関の数だけ住宅ローンの審査基準があるため、同じ人が申し込んだ住宅ローンでも、どんな条件を重要視するのかで住宅ローンの借入金利や融資期間、融資金額は変わります。
ネット銀行やメガバンクは審査の基準が厳しいために借入可能額が少ないですが金利が低い、地銀や信金は条件次第ですが借入可能額が多く金利が少しだけ高いなど、自分がどこから借りるのが一番条件が良いかは実際に審査を受けてみないと分かりません。
住宅ローンの一括審査申し込みサービスなどで複数の銀行や信金に住宅ローンを申し込んでみましょう。
偶然でも良いので収入が多い年度に審査を受ける
成果型の給与体系のサラリーマンや、自営業者、企業経営者、副業からの収入が大きい人など、変動しやすい収入がある人は収入が多い年度に住宅ローンの審査を受けましょう。
住宅ローン審査は基本的に3期分(3年分)の収入の推移と金額を見ますので、偶然でも3期分の収入が右肩上がりだと一番収入が良い状態を基準に審査をしてくれます。もし今年の収入が悪化しそうであっても、直近3年間の収入は実績として残っていますので、良い実績を提示できる年度のうちに住宅ローンを借りるようにしましょう。
多少無理をしてでも住宅ローンを借りていいのは賃貸併用住宅で家賃収入が見込める場合か、価値のある物件を割安で購入する場合など、あくまで購入する不動産により、収入や資産価値を得られる場合のみにしておきましょう。
返済実績のある銀行を利用する
これは活用できる人が少ないですが、条件の良い住宅ローンを引き出すのに有効な手段です。
銀行としては初見のお客さんでは貸したお金を返してくれるかどうかを短期間で見極めるのは難しいので、やや堅めの基準で住宅ローンの審査をする必要があります。一方ですでに取引があり返済実績のある人であれば、どんなお客さんなのかもわかっているし、何より実績があるので審査のプラス材料もあります。
自分が事業を行っていて銀行と取引があるとか、実家のリフォーム資金を借り入れた経験があるとか、そういった場合でないと返済実績などないので活用できないと思うかもしれません。実はこの返済実績というのは自分自身だけではなく、親の場合でも活用できるのです。
例えば親がローン返済を長年行ってきて銀行からの信用がある場合、その親に保証人になってもらう事で親の信用力を自分の住宅ローンの審査にプラス要素として活用することが出来ます。
もちろん銀行と取引があっても返済に遅れてしまったことがあったりするとマイナス要素になりますのでご注意ください。
親の不動産などの共同担保を入れる
担保というのは銀行がお金を貸す時に『もし返済が止まってしまったらその物件を売って貸出金を回収できる権利(抵当権)』を設定しておく不動産のことです。住宅ローンを借りる時には銀行は必ず自宅に対して抵当権を設定して、自宅を担保として確保してきます。
厳密には担保はもっと広い意味がありますが、簡単に書いてしまえば『住宅ローンの交換条件として差し出す不動産』のことです。つまり担保をたくさん入れる(住宅ローンの交換条件となる不動産を差し出す)ことで、より金利が安く大きな金額で住宅ローンを借りることができます。
これから購入する不動産以外に物件を持っている人や、親の家や土地を担保に入れることで住宅ローンの条件をより良くする事ができます。
これも悪い書き方をしてしまえば、万が一返済ができなくなった場合に借金のカタとして自宅に加えて担保の不動産も取られてしまうという事です。絶対に住宅ローンの支払いに困ることがないよう、家賃収入があるため返済に困るリスクが低い賃貸併用住宅を建てる場合などに限って活用するようにしましょう。