実際に検討した賃貸併用住宅の土地と間取り その4

何度かに渡って私が実際に検討してきた賃貸併用住宅の土地と建物の具体例を書いている記事シリーズの続きです。何の情報を集めて、どんなことを考え、何を基準に購入するかどうかの判断したのか。できる限り具体的な記事を書くことで、あなたの賃貸併用住宅の取得にお役立て頂けることを願っています。

ではさっそく実際に検討してきた賃貸併用住宅プランを見ていきましょう。

賃貸併用住宅の土地候補9件目


住所:東京都世田谷区
立地:東急線沿線 普通停車駅 徒歩1分
面積:72平米(セットバック後)
用途:近隣商業地域
権利:所有権
建ぺい率:80%
容積率:240%
価格:4600万円
形状:南北に長い台形
接道:北側4m公道、間口:6.5m
賃貸併用住宅プラン:木造3階建ての長屋タイプ
[1階の間取り]シェアハウスLDK+シェアハウス個室1戸の合計55平米
[2階の間取り]シェアハウス個室6戸の合計55平米
[3階の間取り]1LDK55平米(自宅)

9件目の土地は何気なくインターネットで賃貸併用住宅の情報収集をしていた時に偶然見つけた土地です。乗降客数の多くない駅なので頻繁にはチェックしていませんでしたが、いつもの人気駅の徒歩10分以内の土地に限定した探し方では良い価格帯の土地が見つからないため、少しだけ土地探しの駅の条件を広げてみることで発見しました。

立地は利用者数の多くない東急線の普通停車駅ですが、徒歩1分もかからないすごい駅近です。5秒と書く方が良いかもしれません。駅の入口が目の前にあるのです。しかも近隣商業地域なので土地の大きさの割に大きな建物を建てることができるので収益性も高いです。

1部屋の広さがあるシェアハウスを作れるので、家賃を6万円とすると6万円×7部屋=42万円が月々の家賃収入です。自宅部分が全体の1/3ですが、55平米もあれば十分だと考えました。

利用者数の少ない駅でも、すごい駅近で収益性も良いので購入するつもりで話を進めていたのですが、土地が台形だったため賃貸併用住宅の建築プラン作りが難しく、しかもワンフロア55平米の3階建てなので建築費用がかなり高額になることが分かってきたため残念ながら見送りとなりました。

結局この土地は4400万円まで価格が下げられた後に売れ、鉄筋コンクリート造の建物が建つことになりました。土地を購入できずに冷静になってから気が付いたのですが、この土地は目の前が踏切でした。駅があまりに近いため、電車が通過したり踏切の騒音が聞こえたりと木造物件では音が大きなデメリットとなる立地だったのです。

賃貸併用住宅の土地候補10件目


住所:東京都世田谷区
立地:東急線沿線 普通停車駅 徒歩1分
面積:52平米
用途:近隣商業地域
権利:所有権
建ぺい率:80%
容積率:300%
価格:4100万円(建築条件付き)
形状:南北に少しだけ長い台形
接道:南側5.5m公道、間口:4.5m+西側4m公道、間口:9m
賃貸併用住宅プラン:木造3階建ての長屋タイプ
[1階の間取り]1LDK40平米(自宅)
[2階の間取り]シェアハウスLDK40平米
[3階の間取り]シェアハウス個室5戸で合計40平米

もしくは木造3階建ての長屋タイプで
[1階の間取り]1K19平米×2戸
[2階の間取り]1K19平米×1戸、自宅の水回りと階段
[3階の間取り]自宅の1LDK部分

10件目の土地は9件目の土地から見て、駅と線路を挟んですぐ向かいにある土地です。こちらの土地も9件目の土地と同じ最寄駅で、同じように駅徒歩1分かかりません。徒歩15秒くらいです。元々は大きな店舗の建っていた土地なのですが、5区画に分譲され建築条件付きの土地として販売されました。

立地と広さの割には4000万円前後と安い価格の土地だったので、問合せも多く情報が公開されてから数日のうちに契約となる区画も出てくるくらいの人気でした。私もすぐに問合せをして現地を見に行きました。

最初は一番広くて土地の坪単価が一番安い分譲地を買うつもりだったのですが、長細い変形地だったために賃貸併用住宅には向きません。賃貸併用住宅は賃貸部分と自宅の入り口の両方が必要なため、小規模なものでも2~3戸の玄関が必要です。間口が狭い土地や変形地では玄関を複数確保できないことも多いです。

そこで一転してもっとも坪単価の高い角地で賃貸併用住宅の建築プランを検討する事になりました。角地ならば複数の玄関を作ることは簡単です。しかも賃貸住宅と自宅部分の玄関の位置を遠ざけることも簡単なので、入居者さんとの無駄な干渉を避けることもできます。

ワンフロア40平米と少し小さめですが、自宅を40平米で我慢するなら5部屋のシェアハウスを作ることができますし、通常の賃貸住宅ならば20平米弱の小さめの1Kを3戸と、約60平米の2LDKの自宅を作ることができます。

賃貸住宅部分の家賃収入を考えてみると、シェアハウスの場合は小さめの個室のため5.5万円×5部屋で27.5万円の月間家賃収入、1K3戸の場合は8万円×3部屋で24万円の月間家賃収入です。土地が4000万円、建物が3000万円、諸費用が500万円の総額7500万円の賃貸併用住宅としてはそれなりに良い家賃収入が見込めます。

ただしシェアハウスも普通の1Kも長期的に見ると将来性がありません。駅徒歩1分以内でも駅自体の利用者数が少ないですし、シェアハウスはわずか5戸で個室が狭く、リビングも40平米弱と物件の魅力があまりありません。1Kを3戸作る場合も20平米弱の特徴のない物件になってしまいます。新築から数年のうちは大丈夫かもしれませんが、古くなってくると賃貸経営として難しくなることが明白だったのです。

しかも9件目の土地と同様、電車と踏切の騒音問題もあります。賃貸併用住宅の玄関のすぐ外が道路だというのも問題です。通行人が簡単に家の中を覗けてしまいますし、子供が玄関を飛び出てしまって危ないということもありました。

投資規模としてはちょうど良い土地でしたが仕方なく見送ることにしました。それでも様々な賃貸併用住宅の建築プランを検討することで、どんな土地が良いかという考えがだんだんと固まっていったので良い経験として今後の土地探しに役立ちました。

まだまだ賃貸併用住宅の土地と中古物件探しは続きます。お楽しみに!