2007年から賃貸経営を始めて、今までに二度不動産の売却を経験してきました。これらの売却活動をのために10社以上の不動産会社と物件売却に関する話をして、売り出し後にはたくさんの買い主の方から多数の問合せや買付を頂いてきました。
物件の不備や不具合は全て不動産会社に伝える
私が初めて売却をしたアパート一棟の時の実話です。そのアパートは借地権の土地に建っており、通常よりも売買が複雑な案件でした。それでも何とか地主さんの協力や不動産会社の担当さんの精者の精力的な活動のおかげで、少しずつですが物件の売却に向けて話を進めていきました。
そうして売却活動を進めている最中に事件が起きます。
買主候補が現れて契約が決まりそうだったある日、不動産会社からすぐ事務所に来てほしいと連絡をもらいました。事務所に着くと会社の専務と担当者の2人が険しい表情で待っていました。私が席に着くと、少しの沈黙があってから専務が重い口調で話し始めました。
「ミゴマさん、正直に聞いてしまいますが、私たちに隠していることはありませんか?」
「売却依頼を頂いたアパートですが、建築基準法違反であることがが分かりました。つまり違法建築です。」
「違法建築の物件には融資をしてくれる銀行・金融機関はほとんどありません。」
「融資が出にくいので物件の価値も変わります。売り出し価格を下げます。」
「今の買主候補の方には違法建築であることを伝えた上で買うかどうかもう一度聞いてみます。」
「違法建築だという事をなぜ最初に言っていただけなかったのですか。」
私にとっては所有しているアパートが違法建築ということ自体が初耳でした。確かに他ではあまり見ない特徴があり、ちょっと変わった物件だという程度の認識だったのです。ただ、特に気にもしていなかったので不動産の売却査定を依頼する時には何も伝えていませんでした。
結局買主候補だった人は購入を取りやめ、10%値下げして違う投資家に購入してもらうことになりました。アパート一棟の10%値下げですからウン百万円の値下げです。
売却活動の最初に分かっていれば売り出し価格や買主さんへの案内方法もそれなりの対処ができたのですが、物件情報を広く公開して買主候補が現れてから「実は違法建築でした」ではまともな売却価格では売れません。元々の買値が安かったので助かりましたが大失敗です。
この失敗を糧にして、二つ目の物件の売却査定の時には不備や不具合だけではなく、気になる点も含めて物件に関する事は全て不動産会社に伝えるようにしました。不動産の売却査定の時にはお気を付けください。
買い手が現れてもあわてて契約しない
不動産を実際に売りに出してみると実感するのですが、よほど安い金額でなければすぐには買い手が現れません。1週間経ち、2週間経ち、1ヵ月経ち…と何の問合せもなく時間だけが過ぎ去っていくと、売り出し金額を間違えたかな、と不安になってきます。
こうして不安になってきたところで「20%引きなら買います」「現金で買うので30%引きにしてほしい」などの非常識な低い金額の買付けが入ると、通常の精神状態ならば即お断りですが、不安な状態だと迷ってしまうこともあります。
それでも何とか断りながら待っていると、あるとき「10%引きで買います」という申し出が現れたりします。それまでに遭遇してきた非常識な値引き要求に比べればマトモに見えてしまい、10%の値引きを受け入れて契約をしてしまいますが、これが失敗の原因です。
10%の値引きを提案した買い手は、契約を確定させるために契約をするよう急がせてきます。ところが契約をしてしまうと、もう他に高値で買いたいという人が現れても、違約金を払わないと高値で買ってくれる人に切り替えができません。
さらに契約をした買主がローンを利用する場合、ローン審査の手続きから審査結果の通達までの1ヵ月前後の間、買えるかどうかも判らない状態で待たなければなりません。ローンの審査待ちの間に、満額で買いますという現金ですぐ買える人が現れても、売り先を買えることはできないのです。
買い手が現れても急いで契約するような事はせず、ローンを利用する場合は銀行で事前審査を受けて買える条件が揃ってから契約をするぐらい慎重に進めてください。常に選択肢を残しながら売却活動をすることで、納得のいく売値で不動産を譲ることが可能になります。
問い合わせすらない時は何かしら変化させる
慌てて売らないとは言っても、1ヵ月や2ヵ月の間に1件の問合せも入らないようだと、不動産会社の間では「売れ残り物件」として認識され、見向きもされなくなってしまいます。あまりにも長い期間放置していると、売り出し価格を下げたとしても「またあの物件か」と内容も見てもらえず意識的に避けられるようになってしまいます。
こうなってしまうと今後の売却の可能性はほとんどなくなってしまいます。そうならないためには売却する物件を何かしら変化させましょう。飾り付けをした写真にしたり、リフォームを実施してリフォーム済み物件としてアピールしたり、価格を少しだけ下げたりして、「この物件の売主は売る気があるんだな。」と不動産会社の人たちに認識してもらうようにします。
そうすれば「多少値引きなどの要求があっても検討してくれる」と覚えてもらえる事になり、非常識な価格での買い付けは別として、多少の値引き要求があるけれど買いたいという人を連れてきてくれる可能性が出てくるわけです。
売却依頼先の不動産会社(いわゆる元付け会社)の担当者にとっても、仕事が忙しいなかで売る気があまりない依頼主の物件は努力して売ろうと思わないですし、せっかく買主候補が現れても最初の売却条件から一歩も譲らず頑固な売主の味方をしたいとは思いません。
あまり弱気にならず焦らず、でも反応がないときは柔軟に売却条件を変化させる。状況を見ながら上手くバランスをとって売却活動を進めてみて下さい。
不動産会社の担当者の気持ちを理解する
先ほども少し書きましたが、売却を行う上で不動産会社の担当者のやる気次第で、実際に売却できる金額は何百万円も変わってしまいます。
売主である私たちの立場で動いてくれる場合、買主が値引きを要求してきたとしても、物件の持つ価値と売り出し価格の妥当性を一生懸命に買主側に話をして説得してくれることで、希望の売却金額で売れる可能性がかなり高くなります。
一方で「ダメな売主だ」と思われてしまい売却担当者が非協力的になってしまうと、非常識な価格を言ってくる買主でも受け入れてしまい、売主(私たち)に対して「今を逃せば永遠に売れない」などと説得しようと動いてしまう事もあるのです。
この違いは何かというと、売却担当者が誰の味方をしたいか、という点に尽きます。人間ですから論理だけではなく感情によって動きますし、嫌々ながら下手な理屈で動くよりも情熱をもって行動するほうが結果が出るのは明白です。
そのためにも売却担当をしてくれる人には、不動産のプロとして尊敬の念を持つと同時に、不動産の売却という大変な仕事を手伝ってもらっていることへの感謝の念を持ちながら売却活動を一緒に進めていきましょう。
できる限り早く売却活動を始める
上記の通り不動産の売却についてのコツを書いてきましたが、これらのコツを活かすには時間がなければ十分に実践できません。
売却しなければいけない期限があるとしたら早く売却活動を始めるのは当然ですが、売却期限がない場合もできる限り早く動き出すことで、それだけ売却担当者との情報交換や信頼関係の構築が早くできますし、いつ高値で買ってくれる人と出会えるかどうかは分からないので早く売り出し価格を決めて情報を公開することが大切です。
私自身も2件目の不動産を売却するとき、リフォーム費用の支払いに充てる必要があったため焦って値引き交渉をしてきたローン利用の買主と契約をしてしまい、あと2日待てばもっと高い金額ですぐに現金で買ってくれる買主の申し出を泣く泣く断ることになってしまった経験があります。
時間の余裕こそが不動産の売却価格を高く、より希望の金額へと近づけてくれる重要な要素になっているという事です。
売却活動の時間を作るために今すぐできることとしては、まずはインターネット上での不動産売却の一括査定申込みサービスが最適です。売却活動を始めるまでの迷っている時間は、そのまま売却金額の減少に繋がると思って早めに動くことを心がけてください。
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