賃貸併用住宅を新築するまでの手順

賃貸併用住宅の取得までにはいくつかの手順が必要です。さらに同じ賃貸併用住宅でも土地から取得して新築物件を建てるか、中古住宅のリフォームを行って取得するかで大きく2つの方法がありますので、それぞれ目的に沿った進め方を行う必要があります。

新築と中古ではそれぞれにメリットとデメリットがありますし、さらに土地や家を所有していて賃貸併用住宅を建てたり修繕して作り上げる場合と、土地や中古住宅を探して賃貸併用住宅を作り上げるのでは手順が全く違う部分があります。そこで賃貸併用住宅を取得する目的と条件別に、今回は新築する場合の2つのパターン別に取得までの手順を見ていきましょう。

土地から賃貸併用住宅を新築する意味


実際に探してみると分かるのですが賃貸併用住宅は中古物件は非常に少ないです。最大手の不動産情報サイトでも賃貸併用住宅の掲載件数は全国で100件程度です。一般的な中古住宅の件数が全国で200,000件、さらに不動産投資家しか購入しないアパート一棟の掲載件数が全国で7000件と比較してみると、いかに賃貸併用住宅の物件数が少ないかがわかるかと思います。

そのため賃貸併用住宅を取得したい場合は土地から建物を新築する事が多いです。ただし新築で収益物件を取得する事は、実は不動産投資としてはレベルが高い取り組みなのでプロのアドバイスが必須です。どんな土地でどんな間取りの賃貸住宅を作れば、賃貸経営をすれば長期に渡って安定した賃貸経営ができるか。この戦略部分が最も大事です。

ところが賃貸併用住宅の建築過程は注文住宅を建てるのと同じだということで、ハウスメーカーのみに相談して賃貸併用住宅を建ててしまう人が本当に多いです。すでに賃貸経営・不動産投資を主体的に取り組んできた経験があるならば良いのですが、多くの人はそうではないので不動産会社ともしっかりと協力していく必要があります。

こうした前提を頭に入れたうえで新築する手順を見ていきましょう。

1.土地から探して賃貸併用住宅を建てる


最も手間がかかるうえに他に比べて収益性も低いですが、立地と建物の企画をゼロから考えられるので一番自由度が高い方法です。キチンと企画すれば長期的に賃貸需要の見込める立地で、競争力のある賃貸住宅を建てることができるので、長期間の安定した家賃収入を得ることができます。もちろん低金利の住宅ローンが利用できるので、投資額に対しての収益性は低いですが利益はしっかりと残ります。

  • プロに相談して賃貸併用住宅の建築プランを決める
  • 企画している建物が建てられて賃貸需要がある土地を探す
  • 土地を見つけたら買付けを行う
  • 具体的な建築プランを作成する
  • 建物価格の概算見積もりをハウスメーカーに出してもらう
  • 想定される家賃収入と総取得費用から土地を購入するか判断する
  • 頭金を準備して土地の契約をする
  • 複数の銀行に住宅ローンの審査を進める
  • 住宅ローンの審査が通ったら土地の決済と引き取りを行う
  • 古家が残っている場合は建物の解体を行う
  • ハウスメーカーや工務店と工事請負契約を交わす
  • 工事の着工と同時に契約金額の1/3を支払う
  • 建物の上棟と同時に契約金額の1/3を支払う
  • 建物の引き渡しと同時に契約金額の1/3を支払う

2.すでに所有している土地に賃貸併用住宅を建てる


土地を所有していて賃貸併用住宅を建てる場合、まず考えなければならないのは建物や間取りを考えることではなく、土地を売却してより賃貸需要が長期間続くような土地に資産の組み換えができないかどうかです。賃貸経営は立地によって不労所得を得られるか、苦労を積み重ねても微々たる利益になってしまうかが決まります。いま所有している土地にこだわらず、まずは今ある資産を最も良い不動産に組み替えることから始めましょう。

[土地の売却をする場合]


  • 所有している土地の賃貸需要を調べる・プロに聞く
  • 不動産会社に土地の売却金額を査定してもらう(ここで土地売却の判断)
  • 土地を売る場合は焦らずにじっくりと売る
  • 土地の売却で手に入れた資金を元に賃貸併用住宅の建築プランを決める
  • 企画している建物が建てられて賃貸需要がある土地を探す
(以下は上記「1.土地から探して賃貸併用住宅を建てる」場合と同じ)

[所有している土地に建てる場合]


  • 所有している土地の賃貸需要を調べる・プロに聞く
  • 不動産会社に土地の売却金額を査定してもらう(ここで土地所有継続の判断)
  • 具体的な建築プランを作成する
  • 建物価格の概算見積もりをハウスメーカーに出してもらう
  • 想定される家賃収入と総取得費用から建築するか判断する
  • 複数の銀行に住宅ローンの審査を進める
  • 住宅ローンの審査が通ったら工事請負契約を交わす
  • 古家が残っている場合は建物の解体を行う

(以下は上記「1.土地から探して賃貸併用住宅を建てる」場合と同じ)

賃貸需要のある立地を見ぬくために知識を得る


以上の通り賃貸併用住宅を新築する場合の手順を見てきましたが、土地を所有しているかどうかに関わらず一番大切なことは賃貸需要のある立地に徹底してこだわることです。良い立地の土地を手に入れるためならば、もし土地を持っていても売却して資産の組み換えをすることは当たり前、ぐらいに考えるほうが長い目で見て得をします。

とは言えまずは賃貸需要のある立地とはどんな場所なのかを理解する事が大切です。賃貸併用住宅も賃貸経営を行うという点は同じですので、賃貸経営・不動産投資の勉強を行うことをお勧めします。ちょっとした知識が数百万円~数千万円の差になって表れてきますので、不動産投資の勉強はとても費用対効果が高いです。

まずは自分が取り組みやすそうな本や教材を1つ購入して見てみることから始めてみましょう。